妊婦さんの骨盤ケアの重要性が認識されるようになった過程
腰椎や骨盤周りの痛みに苦しむ妊婦さんや産後の方のケアに長年努力していた、京都大学病院産科分娩部元婦長の渡部信子氏が平成6年(1994年)にトコちゃんベルトを考案したのが始まりです。販売を開始したのが平成9年(1997年)で、妊産婦さんの骨盤ケアを主眼においたものとして画期的なものでした。
当時は妊産婦さんの骨盤をケアする事の重要性がまだまだ理解されておらず、トコちゃんベルトの存在やその利点はなかなか広まりませんでした。渡部氏は「妊婦が「腰が痛い」と言えない雰囲気を医療関係者が作り出していることを問題視し、妊産婦の骨盤ケアの重要性を広めるために平成10年(1998年)、京都にサロンを設立。骨盤ケアのためのセミナーを開始したのもその年です。
当初トコちゃんベルトを評価したのが京都大学看護学科助教授の服部律子氏で、「トコちゃんベルトを着用したグループは着けなかったグループと較べて産後の不快症状や痛みが少なく、マタニティ・ブルーになりにくい」という趣旨の学会発表をおこないました。
また、服部氏は平成11年(1999年)6月、専門誌「母性衛生」において、「産褥早期における腰腹部固定帯の効用」という論文を発表しています。続いて下記のような論文が相次いで発表された事で骨盤ケアの重要性が広く認知されるようになったのです。
- 「激しい恥骨の痛みで歩けなかった妊婦が、トコちゃんベルトの着用で歩けるようになった」(2002年)
- 「骨盤の弛緩と分娩の時期は一致する」(専門誌「産婦人科治療」(2005年))
トコちゃんベルトが登場し、一般にも広まることで「今まで骨盤とは関係ないと思われていた早産や便秘、排尿障害などの症状までも改善できる」と妊産婦さん自身や医療関係者が実感するようになってさらにトコちゃんベルトの利用が広まるようになっていきました。