子育てはお腹の中から始まります
子宮がおさまる骨盤の状態を整えてもらえると、赤ちゃんが気持ちよく過ごせます。まずは骨盤の仕組みについて知っておきましょう。
女性の骨盤は上の図のような、輪っかを描くような形をしています。子供の頃は腸骨・恥骨・坐骨の3つに分かれていた骨が成長とともに癒合して一つの「寛骨」という大きな骨になり、赤ちゃんの通り道である「骨盤輪」を形作ります。骨盤輪を形作る骨は左右の「寛骨」と中央にある仙骨で、この3つの骨の間には、左右の仙腸関節と股間の少し上にある恥骨結合という関節があります。仙腸関節と恥骨結合は多少の可動範囲があるものの、通常はがっちりと靭帯に固定されています。
リラキシンの影響
ところが、妊娠初期から「リラキシン」というホルモンが主に卵巣の黄体から分泌されるようになると、関節の靭帯がゆるくなってきます1。卵巣内の毛細血管から血液中に入ったリラキシンの影響で全身の関節がゆるくなる一方、パラクリン(パラ分泌、傍分泌)という形で血液を介さず卵巣周囲に影響を及ぼすと骨盤の関節や、子宮、卵巣を繋ぎ止めている靭帯がゆるくなります。
骨盤の仙腸関節と恥骨結合の靭帯がゆるくなることで、赤ちゃんが産道を通りやすくなるのですが、骨盤輪が不安定になるという副作用があります。
通常は安定している骨盤輪が不安定になると、骨盤を安定させようとして周囲の筋肉が反応し、緊張して固くなってしまいます。
- 脚の付け根の前の腸腰筋
- 骨盤の横の中殿筋
- 脚の付け根の後ろの梨状筋
この辺の筋肉が固くなって痛みを訴える妊婦さんは多いですね。
腸腰筋の痛み
大腰筋は腰椎と大腿骨をつなぎ、腸骨筋は骨盤の腸骨と大腿骨をつなぐ筋肉で、この2つをあわせて腸腰筋と呼びます。妊婦さんは腰が反るので大腰筋の付け根が固くなり、また、股関節の前を通る腸腰筋がこり固まっているケースもよく見られます。妊婦さんで脚の付け根の前が痛い方はこのタイプです。
お尻側の痛み
骨盤を後ろ側から見た筋肉の一部。一般の方でも固くなっていることの多い小殿筋や中殿筋、梨状筋が、妊婦さんでは痛みが強くなっている事が多いです。例えば妊娠する前から骨盤のゆがみ(ねじれや傾き)があり、左側に骨盤が傾いていると、バランスを取るために右の中殿筋や梨状筋などに負荷がかかります。特に梨状筋が固くなってしまうと、そのすぐ下から腿裏に出てくる「坐骨神経」が圧迫されてお尻~腿裏のしびれ・痛みを訴える方も多いです。
なぜ骨盤ケアが必要なの?
電化製品の普及によって、昭和以前と比べて現代人は格段に身体を動かさない生活を送るようになっています。全身の筋肉や靭帯、腱が昔と比べて弱くなっているので、妊娠すると骨盤の関節がゆるみすぎてしまいます。そして妊娠する前から骨盤や背骨のゆがみがあると、腰痛、股関節痛、太ももや膝の痛み、背中の痛みが強くなりがちなので、骨盤のケアが必要になるのです。
骨盤ケアに必要なこと
骨盤がゆるみすぎないようにサポートする
骨盤の関節がゆるみすぎると筋肉に負担がかかります。その筋肉への負担を減らすために必要なのが「トコちゃんベルト」です。できるだけ通信販売ではなく、装着方法の指導を受けられる場所で購入しましょう。当院ではトコちゃんベルトのサイズ測定・試着・装着方法の指導が受けられ、購入も可能です。
骨盤周りのゆがみを整える
骨盤がゆがんだまま関節がゆるんでしまうと、筋肉にかかる負担が前後左右でアンバランスになってしまいます。また、産後も骨盤がゆがんだままだと、そのまま関節が妊娠前の固さに戻ってしまい、骨盤のゆがみが慢性化してしまいます。妊娠の経過が順調であれば、妊娠中からでも大丈夫なので、骨盤のゆがみを調整する骨盤矯正を受けておきましょう。
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